ドール職人のドールライフと日常を綴る日々。

多分うちだけじゃなく、全国的に青ざめた
長い一日だったのではないかと思う。

日頃の、
子供や奥様方が道端で話す声が全く聞こえない。
昼間にあるまじき静けさの中
子供と各部屋の施錠を確認した。
当たり前の生活音さえ、
一丁の拳銃と男が多くの市井から奪った日だった。

翌朝の今日、
犯人は見つかったわけだけど
見つかったよ、検挙されたよと 息子に言うと
良かった… と 言ってすうすう寝息を立てていた。
私もそう。
長い夜だったのだ。

前記事のドールの買い手がついたので
発送のために郵便局へ行ったのだが
すれ違う人が誰もいない。
こんな違和感を感じたのは神戸の震災の時以来である。

まだ、近隣で起こったことと
病気がやったのであって自分が犯した罪ではないという
言葉に 少なからず動揺している。

真面目に言いたいが、お前の血は何色だ。
被害にあった警官の流した血の
ぬくもりを感じなかったとでも言うのか。
血の気が引いた我々は病気に惑わされたとは
思わない。

人としての「なぜ」が何も役に立たない、
答えを持ち合わせようとしない
人間を捨てた人間が目に付くほどに増えた気がする。
やるせない。






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[2019/06/17 21:33] | ちょっとまじめに考えてみる。
|

先週我が家に最強兵器シンガーさんが到来。
自動糸調子って、快適~~°˖✧◝(⁰▿⁰)◜✧˖°
しかも縫い目が薄くても綺麗。
もうチュールも怖くない。

次はガーゼ地で何か作る予定。
楽しい楽しい。

で。
今回販売したのは彼女「常夏」。
その昔は撫子の花の名前だったようです。
源氏物語の夕顔が常夏の女と、頭中将が語っています。
作業しながらずっと聞いてたのは好きなスマホゲーム・
アナザーエデンの時の忘れ物亭などの曲でしたが
初夏に涼やかな髪の色の彼女。
今回は幼さを出したかったので、
ブライスほどではないけれど、アイホール含め
全体的に削っています。
鼻を丸めに削って、口角周りを少し唇が小さくなるように。

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サーキュラーという丸い円で作るスカートのアウトフィット、
丸い曲線を縫うのは苦労した…

いい親元さんにめぐまれるといいなぁ。


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[2019/06/13 21:37] | ドール
|

先週はとにかく自分的に多忙で、
色んな人に会って色んな事をしなくてはならなかった。

で、神経が立っていたのかうまく眠れてなかった。

週の最後に子供のけがで病院に連れて行った時
医者の顔を見た瞬間
バチン、 と 頭の中でブレーカーが落ちるような
音がした。

たいがいの開業医って、
腕は良くても開業当初は穏やかな目をしてるのに
客足が増えて繁盛すると目が無表情に変わるなぁ。
仕方がないんだろうけどそれが嫌だ。





遠い昔 
うちの母親は非常に魔力の強い魔女のような
女だった。

父は彼女の激情に耐えられなかったのだろう、
よそへ妾を囲った。
何もかもを放り出し、激高した彼女は金庫から
札束を握りしめ私と兄を連れて家を出た。

そして上の兄は溺愛したが
黙って遠くの地方へ家出同然にいなくなった。
残った一人娘に関しては、
成人して家を出るまで
呪文のように事あるごとに
いや 多分何もなくても言い続けたのだ。

「お前なんか女に生まれたから
おろされずに食わせてもらって大きくなれたが
それでも頭も悪いし器量も悪い。
一生嫌われ者だよ。
最後は野垂れ死にだ。」

なぜそんな恐ろしいことを言うのか
理解できなかった。
わけがわからないままに、
呪文は刺青のように刻印され
この何十年も何かのきっかけで思い出しては
苦しんできた。
だから今でも寝る時は耳栓が手放せない。

母親が死んでもなお、魔術は有効だった。
こういうのは不条理だと頭でわかっていても
理屈じゃないのだ。
忘れたころに人の暗い、無表情な目を見ると
刻印がぶわっと浮き上がってくる。

そして呪文は母親の声で返答する。

「ほら、やっぱり(笑)。」

今二人の息子の母親になった私はまだ
子供のころのこの出来事に悩まされ、泣くことがある。

だが
別に教えたわけでもないのに
中学生に成長した下の子は
ぴったりと肩を引っ付けてきて

「悪いのはお母さんじゃないからね。
意地悪なことをやる人間が悪いんやで。
泣いてもいいし。
僕は、充電してあげる。」

ありがとう、私情けないね と 言うと

「そーゆーのなし。
お母さんのせいやないもん。」

子供にはへなちょこっぷりを散々見せて
育ててきたが 
幸い二人にはあの女の魔力は及ばなかったようだ。
私にはそれができただけでも本当に良かった。

そうこうしてるうちにLINE通話の音が鳴る。
上のぼーずである。

「どうかした?」

「LINEの反応が薄かったから
なんかあったかなと思って。」

「勘のいいガキはこれだから…」

「ハガレンかよwww」

そこからゲームの話や
今自動車学校に通っているので
そこでの話などを小一時間ほど話をする。

何も気にしなくていい、
ちょっと間が抜けてても許してくれる。
子供たちという大きな慰めが
私に与えられたことを感謝している。
歳をもっと取っても迷惑かけないように
エンディングノートくらいは書いておかなきゃなぁと
考える昨今。

呪文のトラウマにどっぷり疲れた週末から明け。
ベランダの窓を開けて外の風をいっぱいに吸い込んで、
隣のクッションで丸々としているうちの猫様を撫でつつ
ドール服のデッサン画を描く。

後から気が付くことが多いことは困るけど
きっかけさえあれば、身体は勝手にふし浮きでも
浮き上がるようだ。

すこしづつ、痛みが消えてくれればいい。
呪文や魔法は私の代でおしまいでいい。





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[2019/06/10 15:41] | 育児
|


甲辰
すごい記事でした。

僕にも 呪文 があります。幸いなことにといったら変ですが、親ではありませんでした。サラリーマン時代の最初の1年半ほどでしたが、この1年半で生きる気力をなくし、生きる気力をもらいました。

なくし もらいました 
というのは、ベクトルとかバランスが変わってしまったのです。それは、1つには 呪文をかけた人間を呪う が生きる原動力になるということを肯定してしまったからです。まあ、現実的には何も出来ませんが。それで僕は生きていられるのだど思っています。気持ちのいいものではありませんが、少なくとも 呪文 をかけられたこともない人たちが 前向きに とか 恨むな とか人にいうよりは、よほど正直だと自分では思っています。

ヘンなコメントですみません。


>甲辰さん

あまり愉快な話題ではないので、
もしも不快にさせてしまっていたらすみません。
執着心や支配的な人は魔力が強いと思います。
更に、私は人生において度々そういう人種に遭遇していますので 個人的に今更綺麗なことなどは言いたくもないのです。
これは絶対あんたの真逆を生きてやるっていう、自身のルサンチマンを吐き出した記事です。


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最近に限ったことではないけれど
販売ツールになる国内のオークションサイトの説明文などを
見ると
ドールの作家自身が

「転売禁止、よそのオークションで売るのも厳禁。
守られなければ取引しません!
一生大事に手元でかわいがってください。」

と 表記されたものを散見する。

その気持ち、めっちゃ分かる。
作って送り出したドールが後生大事に
幸せにオーナー様の下で癒しの存在であるように
願ってやまないのは
作り手もその子が好きで作ったからだ。


だけどね。
思うのと 言うのとでは
作り手と貰い手とでは
大きく思い入れも人形を扱う動機も
違うのですよ。
海外の作家さんではあんまり見ない文面である。

そしてそれらはきっと、
もうどうしようもできないものだと、
どこかで自分の中で線を引かなければ
カスタム人形を流通にのせることはしないほうが
精神衛生的にいいのではないかなと
最近は個人的に考えている次第である。

例えば
今自分が生まれた時に買ってもらったという
内裏雛
リカちゃんハウス
父親のおみやのフランス人形
ばーちゃんがお土産に買ってくれた
JALのスチュワーデス人形

今 残念ながら どれも手元に無い。
多分最初に生まれた女子だったから
親戚筋に私の意思とはかかわりなく
もらわれてったんだろうなぁと思うけど。
どこかで他の誰かが喜んで手にしてくれていたら
その人形も幸せだろう。

今私は日本人形玩具学会の一員になり、
研究誌や先輩方のお話を聞くにつれ
『今ある人形をどう遺していくのか』
を 模索している。
売る、作る、愛でる、全ての人形をめぐる分野で
活動している人たちの共通の懸念である。

そこで 
先述した意識的に売る側が強く限定しても
果たして人形は残るのだろうかと考えたら
私的にはNOである。

主役より後ろの職人が我を強く出しすぎたら
愛好者への邪魔、足枷になるのではないかと
常に思うからである。
もはや面倒になって
決してお安い値段ではないドールを気楽に買えなく
なってしまう人もいるのではないかと危惧している。
そうなってくると、本末転倒である。

だから、どれだけ手元に残して大事にして
欲しくても 
私はそこら辺の事情は貰い手の
手に渡ったら任せようと思っているから
わざわざは書かない。

本当に私自身が思い入れがあって残してほしい子は
下の子が引き受けて保存すると申し出てくれているので
はなから売りに出さないでいる。
彼の言葉のおかげで私は割合のびのびと
製作に打ち込める。
ほんとにありがとう。

色んな世界を渡り歩いて、何百年の歳月を経て
海外から日本に戻ってくる返礼人形もたくさんいる。
多くの人の手に渡るからと言って、
その人形の有様が不幸になるとは限らない。
何を見てどう帰ってくるのかまで
作り手の私がすべて支配しようなんて
作者の傲慢のような気もする。

もうすぐドールに関わるようになって9年、
私の手元にはすっかり分厚くなったお客様へ
お送りした際の宅配便の送り状が束になっている。

100年経って、
1体でも私の作った人形がどこかで残っていたならば
こんな幸せなことってない。
ものすごい野望なのだが
最近は そう思う。








[2019/05/27 21:44] | ドール
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多分この子が平成最後のドールになると思う。
日本人形玩具学会の先輩会員さんとも話してたのだが
現在ドール関係の産業は全般的に力がない。
古典の人形の今後の保全も気がかりである。

彼女たちと、それを愛してやまない職人や
愛好家に優しい世の中になることを切に望む。

昭和の時代が崩御により年明けに終わった時、
喪に服した我々の街は真っ暗だったけど
次の時代は少し寂しいながらも晴れ晴れと
顔を上げて去ろうとしている。

今までの両陛下のお働きを感謝したい。



[2019/04/30 13:02] | ドール
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