ドール職人のドールライフと日常を綴る日々。

私は今から17年前
まだ目が開かない生まれたての頃
同じく小さな妹と一緒になにやらの箱に入れられて
雨に打たれていた所を
その箱の前の住人に拾われた。

その住人は私たち兄妹にミルクを与え、
その家族と一緒に温めてくれたおかげで
助かった。

私と妹は昼はその女主人の職場で
夜は家の子供たちと一緒に眠った。

しかしながら
その生活は長くはなかった。

何故ならその家には先輩猫がすでに8匹もいたため
女主人は自分の職場の近くのペット屋で
新しい私たちの親を探し始めたのである。

その頃 
飼ってた子猫を白血病で亡くし、
ボロボロになっていた女が一人
私の写真を見つけた。

もはや用もない犬猫の店に入って、
何を求めていたのかは私にはわからないが
女はすぐに女主人と連絡を取った。

「予防接種はあと1回分必要ですね。
ええ、エイズも猫白血病も検査してこの子は陰性でした。
では もう少し大きくなったらお渡しできるかと思いますので
改めてうちの会社の近くで待ち合わせしましょうか。

ええ、もう、
この子はうちの子供とも一緒に寝てたので人懐こいですよ。」


しばらくして私は沢山のご飯と予防接種の証明書と一緒に
自転車で迎えに来たその女の下へ引き取られた。

女は小さな赤ん坊を自転車の前かごに乗せていた。
自分に子供がいるのにまだ子供が欲しいとは
人間とは欲深い。

後に女は いや 新しい母は私に

「写真がね、
あの子とそっくりだったの。
私は寂しくてたまらなかったから、気が付いたら
電話かけてお願いしてたの。

あなたは長生きしてずっと一緒にいてね。」

ずっと一緒にいることなど
母猫や妹でさえもできなかったことなのに
これは無理難題を突き付けられたものだ。

しかもこの女は勘違いをしている。
私は選ばれてきたのだからかしづかれても
当たり前なのだ。
そして私は猫なのだから。

それでも女の赤ん坊は乳臭く柔らかい体で
横ばいになってすり寄って抱きついてくるし
ご飯だトイレだとすでに私のために
様々丁度用意されている。

そんなわけで私はこの女の家族と暮らすことになった。


私は自分で用を足せず
あの好き勝手に体を臭いにおいをさせて
いじくり倒す「獣医」というやつに
2度ほど連れていかれたが、
それ以外は至って健康で過ごしている。

最近は新しく戻ってきた女の生まれた土地で
一緒に暮らすボス猫のようにふるまっている男から
たまには「おやつ」というものを貰い、
旨いものを食えて悪くないと思う。

だがもともとライザップじゃあるまいし
(猫様よ、なぜ知っている…ν)
同じご飯ばっかりでこの私が
毎日毎日
夜は子供や女の寝かしつけに添い寝、
朝は起こしてやり、帰ってきては玄関に出迎えに行ってやり
増えた子供のふざけが過ぎると教育的指導の
我が肉球や甘噛みをお見舞いするという
八面六腑の活躍していることの
割りが合わない。

昨日は女が風呂場に私を連れてゆき
やっとこさ風呂で体を洗ってくれた。

「いい子だねぇ。」

顎に当たる水しぶきが、何とも言えず心地よく
もっと当てろと顎をあげてやる。

「最近は胸元の毛の色が薄くなってきたけど
それでも綺麗な縞模様やねぇ。」

風呂上がりにさんざん体をでかい布で拭きまくられ
風呂場を後にした。

母親が風呂に入ろうとするときを見計らって
風呂場に入り、
真ん中で背中を向けて催促したのが聞いたのであろう。

家に来てくれて本当に良かった、
大好きだと女は毎日繰り返す。

そう言われて共に暮らして早くも17回目の夏が来た。
存外に思いもよらず長い付き合いになったものだ。

自分にも子供がいるのに不思議でならないが、
それでも夜
母猫のそれのように私を同じ寝床で撫でながら
眠りにつく様はまんざらではないのだ。



「…ちょっと、
いびき大きすぎ。」

笑うな。






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私は自分で用を足せず
あの好き勝手に体を臭いにおいをさせて
いじくり倒す「獣医」というやつに
2度ほど連れていかれたが、
それ以外は至って健康で過ごしている。

最近は新しく戻ってきた女の生まれた土地で
一緒に暮らすボス猫のようにふるまっている男から
たまには「おやつ」というものを貰い、
旨いものを食えて悪くないと思う。

だがもともとライザップじゃあるまいし
(猫様よ、なぜ知っている…ν)
同じご飯ばっかりでこの私が
毎日毎日
夜は子供や女の寝かしつけに添い寝、
朝は起こしてやり、帰ってきては玄関に出迎えに行ってやり
増えた子供のふざけが過ぎると教育的指導の
我が肉球や甘噛みをお見舞いするという
八面六腑の活躍していることの
割りが合わない。

昨日は女が風呂場に私を連れてゆき
やっとこさ風呂で体を洗ってくれた。

「いい子だねぇ。」

顎に当たる水しぶきが、何とも言えず心地よく
もっと当てろと顎をあげてやる。

「最近は胸元の毛の色が薄くなってきたけど
それでも綺麗な縞模様やねぇ。」

風呂上がりにさんざん体をでかい布で拭きまくられ
風呂場を後にした。

母親が風呂に入ろうとするときを見計らって
風呂場に入り、
真ん中で背中を向けて催促したのが聞いたのであろう。

家に来てくれて本当に良かった、
大好きだと女は毎日繰り返す。

そう言われて共に暮らして早くも17回目の夏が来た。
存外に思いもよらず長い付き合いになったものだ。

自分にも子供がいるのに不思議でならないが、
それでも夜
母猫のそれのように私を同じ寝床で撫でながら
眠りにつく様はまんざらではないのだ。



「…ちょっと、
いびき大きすぎ。」

笑うな。






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[2017/06/20 18:37] | 日々雑感
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